大江山 いく野の道の 遠ければ
まだふみもみず 天橋立


この歌、好きなんですよ。
百人一首に入っているんです。
僕は百人一首得意じゃない、というよりちょっと嫌いなんですけど。
作者は和泉式部の娘なんですよね。
美しい歌だと思いません?

そんなわけで彼女の言う
「生野(現・福知山市内)って遠いわ、
いわんやまだ行ったこともない(手紙も読んでいない)天橋立はもっと遠いわ」
(適当なヨリミチ訳)
っていう気持ちを味わいに大江山へ登ろうと決心したのです。

いきなり後日譚ですけど京(京都)から見て小式部内侍の歌を考えると
「生野が福知山の地名なら大江山がなんで福知山より北にあるんだ?」
と思ったんです。
京都府の土地勘に敏感な者なら当然の疑問です。
答えは鬼退治で有名な大江山(大江町)ではなく
「丹波・山城両国の境にある大江山」だそうです。
やっと納得。
だから大江町の大江山に登って小式部内侍の歌を引っ張り出すのは
間違いになるようですね。
でもネットで検索してみるとわんさかといるわ、いるわ、勘違いしている人。
僕も勘違いした一人だけどノーヒントで1日後に気付いたから良しとしよう。
間違いに気付くの早くて偉いぞ、自分。

今回のことで気付きましたがネット上の日記で旅行話を書く人って
ウェブで自己肯定装置を作っているんですね。
「わたしってこんなに素敵なところに行ったんですよ」って。
(暗に他人に対して素敵なところへ行った「わたし」を認めて欲しがっている)
だから大江山に登ると小式部内侍の歌を引っ張り出さずにはいられないわけで。
僕もその一人ですね、おそらく(笑)
しかしながら僕は旅行は趣味でもなければ好きでもないですから。
重要視していませんし全く自慢に思ったこともないですし。

冬の大江山は雲海が見えるんです。
これを味わいに午前8時前大江山中腹へクルマを走らせました。
ところが今年の台風でアクセス道路がひどいことになっていました。
それを苦労して抜けたというのに登山道が通行止め。
勿論台風のせいです。

これも後日譚ですが通行止めなのは翌日の新聞に載っていました。
遅い!

ヤケクソになった僕は京都府を脱出するだけでなく
隣県の福井県や兵庫県でもなく(両方ともそこそこ行っているので)
一気に鳥取県へ行くことに決めました。
しかも夜ごはんは舞鶴市(京都府北部)で食べる、と。
大江山に備えた小汚い防寒着は他の目的には似つかわしくないですが。

色々寄り道しながら行きましたよ、鳥取砂丘
しょぼい観光地を想像していただけにびっくりしました。
中国地方出身だけに新聞記事や写真、
鳥取大学を代表とする研究機関の学術的価値を知っていましたが
目の当たりにすると意外と立派で感心してしまいました。
関西文化を脱していたので中国地方訛りがうれしくもありました。
将来自分に子どもがいたら連れて行きたいところの一つになりました。

数時間かけて(ライダーの運転する四輪は速い)京都府に戻ると
舞鶴で海鮮丼を食べて、日が暮れると五老岳へクルマで登り
今夜は漁師街の夜景を見たのです。
ぽつぽつと降り始めた雨も四輪ではなんのその
そのまま温泉へと走りました。
帰りの30キロくらいだけ彼女の練習で運転代わりました。
後続車が迫るとブレーキ、アクセルのペダルは指導して踏ませ
ウインカー・ハザードスイッチやハンドル操作も助手席の僕がしました。
「うわ〜、かっこいい(ウソっぽく)、教習所の教官みたいやー」
「いや、ぶつけられたら困るし」
運転操作に慣れていない人の運転は背中と掌に嫌な汗が出ます。

この日も車内泊でした。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索