何を隠そう。僕は最近まで隠れ甘党だった。ずっと辛党だと意識してきたはずなのに、だ。男は相対的に自らを甘党と感じる機会が少ないように思う。
僕は今日、女の子とお茶をした。僕はブルーベリーケーキを、彼女はラズベリーケーキを注文した。味は悪くはなかったが美味しくもなかった。食べている時に、ケーキが好きな男を思い浮かべてみた。
彼は一人ショーケースの甘味に惹かれてふらふらと店にやって来る。或いは雑誌の特集に目を通して来たのかも知れない。感じの良いウェイトレスに、いらっしゃいませ、と声をかけられ席へと案内される。彼は迷いなくショーケースの中にあった一等心奪われた甘味を間違いなく注文する。やがてケーキは席にやって来る。彼はうまそうに、しかし傲然とクソ真面目にではなく、それを賞味する。女たちの不思議な視線は彼の背中に注がれるかもしれない。いや、注がれるというよりは寧ろちら、ちらと時折好奇の目が控えめに投げかけられる。しかしながら彼はそれを気にも留めないし、気付きもしない。彼は間もなく食べおおせる。彼は甘党だった。
僕はケーキを食べるのが嫌いではない。それでも一人では嫌だ。ぜひとも女の子と一緒でないと乗り気になれない。
僕は今日、女の子とお茶をした。僕はブルーベリーケーキを、彼女はラズベリーケーキを注文した。味は悪くはなかったが美味しくもなかった。食べている時に、ケーキが好きな男を思い浮かべてみた。
彼は一人ショーケースの甘味に惹かれてふらふらと店にやって来る。或いは雑誌の特集に目を通して来たのかも知れない。感じの良いウェイトレスに、いらっしゃいませ、と声をかけられ席へと案内される。彼は迷いなくショーケースの中にあった一等心奪われた甘味を間違いなく注文する。やがてケーキは席にやって来る。彼はうまそうに、しかし傲然とクソ真面目にではなく、それを賞味する。女たちの不思議な視線は彼の背中に注がれるかもしれない。いや、注がれるというよりは寧ろちら、ちらと時折好奇の目が控えめに投げかけられる。しかしながら彼はそれを気にも留めないし、気付きもしない。彼は間もなく食べおおせる。彼は甘党だった。
僕はケーキを食べるのが嫌いではない。それでも一人では嫌だ。ぜひとも女の子と一緒でないと乗り気になれない。
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