物干し竿とか金属のペンキを塗らしてくれ。
それよりガキはいい、親を出せとおっさん。
お前に出す親はおらん。と少年。
おっさんはウチを諦めて近所の家にも同じことを言って周る。
不審がってみんな追い払った。
それでもまたウチに来た。鉄パイプの武装をして。
「塗るで」
おっさんは勝手に塗って代金を得ようとしていた。
ずんずんウチの庭に入ってきた。
少年はあまりに頭に来て金属バットでブン殴ってやろうと思って
勢い良く用具入れまで走ってそれを握った。
のっしのっしとおっさんの後を追っていった。
「お前、帰れっていうのが分からんのか。殺すぞ。ボケが」
バットを地面にボコッと叩き下ろした。
「オイ!頭かち割られたいか?」
野球をしている少年の振りは現役だった。
自分自身頭にきているのもあったが、
彼の祖父が取るであろう行為が怖かった。
祖父がおっさんに気付かないうちに追い払わないと、
祖父の真っ黒で丸太のような両腕が
おっさんを殺しかねないと思った。
普通の老人と違って筋肉ダルマなのだ。
おっさんは少年に罵声で応えて
強がりを言ったが、しぶしぶ帰っていった。

少年は人に暴力をふるうことになっても
大した罪は感じなかったに違いない。
なぜなら自分自身が強い暴力の下で育ったから、
他人の方が全然暴力を受けていないと思っていた。
何も知らない甘っちょろい世間様に鉄拳制裁。
暴力で脅すものには、
それより強い暴力で屈服させてやらなければならない。
少年は若かった。

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