フッ俺はもういい歳に達した、女一人来なかったくらいで何をへこむものか、ウキウキした気分も約束された楽しみも水泡に帰そうとも俺は男だロンリーウルフだ何も怖くはない、あれほど晴れていた空がこれほど曇っていようとも俺の気分のようだと気持ちを寄せるものか。あの金で何が買えたかならぬ、この時間で何ができたか?あぁん?昨夜アフリカから帰ってきたS君からお誘いの連絡をいただき断ったのは今日がため。なんじゃいそりゃ、どういうこっちゃ?トートバッグに詰め込んだ13冊が重いんじゃっちゅーねん、それでも足取りは決して情けなくならぬように北山通りを闊歩するカップルや上品なマダムに学校帰りの女子中高生に見下されぬように俺も負けずに肩をヤクザみたいに揺らせて歩いた、マダムに今何時か教えてくれはる?と問われれば笑顔で14時40分ですよと答えてやった、何?もう待ち合わせから40分経ったのか、クソが。今日の14時に合わせて昨日の昼ご飯から何も食べてないんじゃ、15時近けりゃどこもランチタイム終わっとるやないけ、クソがクソが、わけが分からん、家まで歩いて帰ってやる。賀茂川でドストエフスキーでも読んでやると河川敷に下りると白いものが降ってきた、雪が。頭に雪が積もる、これはクソだ、歩いてやる。こりゃあ絶望ですなぁ、ダメだこりゃぁ。
あぉぅ、寒い!北大路に差し掛かると16時前だったが未だにランチのメニューを掲げたカフェがあり、なんやこれ収め忘れかしらんなどと疑い確かめるためにドアに近づく「OPEN」が掲げてある取っ手の上、窓から店内覗くと客一人どころか猫の子一匹見当たらぬ、大体カフェに猫の子がうじゃうじゃおったら毛が飛び散りスーツにこびりついたり浮遊した毛がコーヒーに入っては不快なのであって猫がいては困るわけだが、ともかく誰もおらぬがこれは入りやすいのか入りにくいのかとんと見当がつかぬ、ええい入ってしまえ、いらっしゃいませ、何名さまですか、お一人様ですか、おタバコ吸いますか、ええいうるさい、早くメニューを持って来い、何?ランチはやっているのか。自家製カレーセットは冷えた体と空腹の胃袋に染み渡った、食後のコーヒーで更なる安堵感の高みに上ろうとしたときに、おばさん8名さま来店、キャイキャイ騒ぎながらカルチャーセンター帰りの話と情報交換をし始めた、夫が東京出張だからとひよこを分け合い、広島から帰ってきたからもみじまんじゅうをくばったり、ええぃこのクソ餓鬼がっ!騒ぎおって雰囲気ぶち壊しじゃ!
帰宅して夜には『地下室の手記』を読み終わり、今日の総括としての待望の絶望感がやって来たのだけれどもそれを文章化する力もなく、再びやってきた空腹感をかっぱえびせんで凌ぎつつ、なんでこの俺がかっぱえびせんなんぞを齧りながら飢えを凌がなあかんねんと文句を言うのも気だるく、彼女からやってきた「ごめんなさい」メールにも友達を大事にしなさいと同情しながら徒労感が募り、野坂昭如の「エロ事師たち」を読み始めるあたりが俺がダメ人間である証拠であるように思われ少し泣きたくなったけれど、点けていたテレビで島田紳助がとぼけるとそれが面白くて噴出してしまい、絶望感も深まったのだが一向にコタツから動こうとはせずにただただ横たわっているのであった。
あぉぅ、寒い!北大路に差し掛かると16時前だったが未だにランチのメニューを掲げたカフェがあり、なんやこれ収め忘れかしらんなどと疑い確かめるためにドアに近づく「OPEN」が掲げてある取っ手の上、窓から店内覗くと客一人どころか猫の子一匹見当たらぬ、大体カフェに猫の子がうじゃうじゃおったら毛が飛び散りスーツにこびりついたり浮遊した毛がコーヒーに入っては不快なのであって猫がいては困るわけだが、ともかく誰もおらぬがこれは入りやすいのか入りにくいのかとんと見当がつかぬ、ええい入ってしまえ、いらっしゃいませ、何名さまですか、お一人様ですか、おタバコ吸いますか、ええいうるさい、早くメニューを持って来い、何?ランチはやっているのか。自家製カレーセットは冷えた体と空腹の胃袋に染み渡った、食後のコーヒーで更なる安堵感の高みに上ろうとしたときに、おばさん8名さま来店、キャイキャイ騒ぎながらカルチャーセンター帰りの話と情報交換をし始めた、夫が東京出張だからとひよこを分け合い、広島から帰ってきたからもみじまんじゅうをくばったり、ええぃこのクソ餓鬼がっ!騒ぎおって雰囲気ぶち壊しじゃ!
帰宅して夜には『地下室の手記』を読み終わり、今日の総括としての待望の絶望感がやって来たのだけれどもそれを文章化する力もなく、再びやってきた空腹感をかっぱえびせんで凌ぎつつ、なんでこの俺がかっぱえびせんなんぞを齧りながら飢えを凌がなあかんねんと文句を言うのも気だるく、彼女からやってきた「ごめんなさい」メールにも友達を大事にしなさいと同情しながら徒労感が募り、野坂昭如の「エロ事師たち」を読み始めるあたりが俺がダメ人間である証拠であるように思われ少し泣きたくなったけれど、点けていたテレビで島田紳助がとぼけるとそれが面白くて噴出してしまい、絶望感も深まったのだが一向にコタツから動こうとはせずにただただ横たわっているのであった。
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