横たわる

2004年3月28日 日記・雑記
[秘密メモ]タチツテトンチンカンさん
偏頭痛で一日のほとんどを横たわって過ごしておった。
俺は「横たわる」という語が好きだ。
「横たわる」は英語でlieだ。
高校の英語でlie-lay-lain,lay-laid-laidを無理やり覚えさせられた記憶はないか?
俺にはこういう思い出がある。

Kはクラブの師であり、英語の担当教師であった。
Kはオーバーリアクションで英語を覚えさせようと必死で
生徒たちはいつも苦笑していた。
俺の出身校は広島にあって
入学時は中の上くらいの成績の者が集い、
卒業時には下の上に成績を落とすという評価が定着していた。
(事実ほとんどの者はその通りだった)
なあなあの生活に甘んじた生徒たちの成績を上げようと教師は躍起だった。
でも彼らは語学の講師としても教育者としても3流だったから如何ともし難かったようだ。
話を戻すとKはごろ覚えが好きだった。というより苦肉の策だったのかもしれない。

「lieを横たわらぁ」「layを横たえれぇ」と覚えろとKは言った。
彼の理論を紹介すると以下の通りだ。

標準語「〜してやるわ」⇒広島弁(ちょっと不機嫌な時)「〜したらぁ」
「横たわらぁ」≒「横たわlie」
「横たえれぇ」≒「横たえlay」
アホらしいが故に印象が強かったのか、このごろ覚えが忘れられない。
忘れたいのに。

尚、西日本は動詞の活用が微妙に標準語と違うところもある。
そういう地方では標準語の活用と現地の活用とを併用しているように思える。
未然−連用−終止−連体−仮定−命令と活用させてみる。

標準語の場合
横たえナイ−横たえマス−横たえる。−横たえるトキ−横たえれバ−横たえろ!
広島弁の場合
横たえン−横たえマス−横たえる。−横たえるトキ−横たえれバ−横たえれ!

以下蛇足。「横たわる」話には無関係なり。
サ変動詞「する」の活用も面白い。
辞書にも併記されているから100パーセント間違いではないのだろうが
標準語の場合
しナイ−しマス−する。−するトキ−すれバ−しろ!
広島弁の場合(広島人の多くは普段こう活用させるだろう)
せン−しマス−する。−するトキ−すれバ−せえ!

方言は標準語よりも文語を引きずっているのかもしれない。
文語のサ変と似ていることに気付く。
広島弁で「帰る」を「往ぬ」と言う。
活用も文語と同じ。
ナ変が生きていると感じる場面だ。
恐らく広島以外でも似た使われ方をしている語があるだろう。


脳科学によると、上記のごろ覚えは意味記憶になろうか。
その「ごろ」を思い出せないと知識自体も呼び起こせないもの。
この意味記憶は不安定なもので潜在記憶にカテゴライズされる。

覚えてしまえばなんでも知識。
その記憶(知識)を強化しよう・忘れまい、と人は色々な手を使う。
ごろ覚えもその一種だろう。

俺の場合、ごろ覚えは大学受験に多かった。
大学生になり過去となった受験勉強とはなんだったのかと省みると
中上健次「黄金比の朝」が自然と思い出される。
自らの経験でない「黄金比の朝」がエピソード記憶であるかのように。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索