近藤ようこ『水鏡綺譚』青林工芸舎
水鏡綺譚は長年忘れがたい未完の物語であった。旅が終わった今、この物語は愛しい泉の如く、心にあり続ける。高橋留美子

昔話をしているようで、いつでもないどこかでありながらにして、
ここ・現在にある物語。
日本の土着性を取り入れた佳作だ。
例えば魑魅魍魎や神、仏が人間の身近にいて
共に生きている味付けは無理がなくてうまい。
勧善懲悪と人生のやりきれなさのバランスも良い。

あとがきに「白土三平」「カムイ伝」「宮崎駿」「もののけ姫」「網野善彦」
なんて記号を持ち出した批評はやめにして、
せいぜい自らの来し方(マンガ体験、民俗学)や本作にまつわる話で抑えておけば
もっともっと臭みがなくて良かっただろうに。

この作品もマンガ尊崇者たちに心地良さを抱かせるだろう。
そうだ、俺たちはセンスが良いんだ、という自己肯定を伴って。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索