片岡義男「彼のオートバイ、彼女の島」角川書店1980年
バーチカル・ツイン・エンジンの振動と排気音だけが恋人だと思っていた彼。だが、夏のあの日、浅間の輝ける入道雲を遠くに見る風の吹く丘で、彼女に会ってしまった。―ラブ・ストーリーが始まった。彼のオートバイは走る。高速道路の地獄めぐりをあとに、陽ざしの強い山陽路を西へ。そして夕なぎの瀬戸の小島の蝉しぐれの浜辺へ…。爽快なフィーリングで、オートバイ狂のコオと島から来たミーヨの、夏の日の愛のふれ合いを描く長編小説。解説・宝謙二

紹介し忘れていた本をばアップしとこう。
オートバイ文学の雄、片岡義男の最高峰
現在形溢れる文体はオートバイの疾走感さながら。
そしてオートバイ文学とはディスカバージャパンであり、
モーターサイクルという近代化の産物と旧来の日本の心を融合させたものだ。
だってオートバイは鑑賞するものでもなく、
実用に向いているわけでもなく、ツーリングをするための機械なんだ。
ツーリングにハイライトがあるのは当たり前。
それが日本再発見、文学紀行なわけだ。

僕はこの作品はエンターテイメントとしてはなかなかの作品だと思う。
でも文学をかじっている者としてはマジメに読めないし、
マジメに読むには恥ずかしい。

北海道のとあるライダーハウスに泊まったとき、
アホみたいにオートバイ関係の本を置いたところがあった。
※ライダーハウスとは利益目的じゃなく善意でライダーを泊めてくれる宿、タダ〜1500円くらい、つまり薄利
当然のように片岡義男の本はたくさん置いてあった。
オートバイと青春にいつまでも酔いしれたいんだろうね。

ところで「図書」6月号に片岡さんが寄稿していた。
※「図書」は岩波書店の雑誌
こういった近年の岩波路線はあまり好きになれないな。
片岡さんって著書の多くが柔らかい本の多い出版社、
例えば角川書店、が多いのに「図書」かよ。
読書家って流行らない存在だけど、彼らが憤慨し始めたのは、ここに違いない。
特に岩波新書の凋落はここに始まったとされる話だ。
彼のことを好きな方には申し訳ない。
めちゃくちゃに著書の多い彼を支えているのは膨大なファンだから、
ファンは凄くいるんだろうけど、言わせてもらおう。
椎名誠の『活字のサーカス』だ。
エンターテイメントの大功労者に対して厳しいですか?
僕も読んだけど、つまらなかったんだもん。
滅多に本を荒々しく扱わない僕だけど、
この本、要らないから本立て代わりにしたり、
棚の脚が床を傷つけないようにとその下に敷いてみたりひどい扱いをしてきた。
今はどこにあるのか不明。
探すの面倒臭い!

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索