今日は他人にとっての「僕」について大きな転換点だ。
僕にとってはなーんにも変わらない「自堕落な毎日」のうちの一日なんだけど。

理由はひとつ。
就職活動が終わったこと。
昨日までと比して今日を基点に
他人が気色悪いくらい物分り良くなってくれている。

お前がダメ人間だから6年も大学に通うんだし就職活動もうまくいかねぇんだ。

お前の6年間は決して無駄じゃなかった。だから最後には報われたんだ。

この違いはなんだ?
著しく僕の扱いに乖離があるように思えてならないのだけど。

僕のこの約一ヶ月間の就職活動について語ろう。
それは就職活動ゲームと呼ばれる。
今まで僕は人間性を高めることばかり考えていて、
その人間性を汲んでもらうことで
結果的に内定をいただければ良いと思っていた。
でもそれはあまりに効率が悪かった。
去年はどんなに狭き門のエントリーシートでも文章力で突破してきたのに
今年は履歴書の汚点(浪人、留年、病気)で
文章力の上達にもかかわらず20数社受験で全敗だった。
書類の段階で落第し面接を受けさせてもらえない門前払い状態だったのだ。
僕はそこから就職活動ゲームを開始した。
5/20の日記を読んでいただければ分かるようにクソ、
つまり俗にまみれることにした。
内定を取る、それだけの目的のゲームを開始したのだった。
それから練習台のベンチャー企業を受験。
ここは履歴書の必要がなかったからそれを利用して興味もないのに面接を受けた。
当然落ちるように返答したから落ちた。
それから本命の出版社を受験。
バカみたいに内定自体を目標として
日々思索とくだらないハウツー的能力の磨き方をした。
例えば興味のない欄であっても新聞は読むこと。
例えば漢字検定という俗な試験を受けること。
大学職員にコツを聞くこと。
他人のための行動だ。

本日目的を果たして破いた「クソになるためのレッスン」の一部を披露しよう。
言うまでもなく本心は全くの逆でひねくれて走り書きしたものだ。

「読書は完全に余暇。人間性が高まろうが実学の前には無力なり。それ以上でもそれ以下でもない」
「マイノリティには選択の自由は全くない。プライドなんぞそれこそクソである」
「金ほどに選択の幅を広げるものはない。想像力なんぞはクソ食らえ。それは綺麗事である」
「金のためには実学と運、それと驕慢が必要である」
「クソは分かりやすいことを好む。俗にまみれよ」

どの会社も多様性が好きなことを謳っておきながら、
語学のための留学であったり、
リーダーシップを取ったゼミ活動・サークル活動であったり、
実学的な資格であったり、インターンシップであったり、
客商売のアルバイトであったり、
結局好まれることは画一化されていて全く個性的ではない。
これだけ画一化されるとハウツー本が売れるのも仕方ない。
そうすれば万事うまくいくようにできている世の中なんだから。

ただ一縷の希望もあった。
僕が来年度働く会社は僕の汚点を知った上で優等生たちを不採用にした。
僕の生意気な性格を圧迫面接で確かめたし、
僕の目標としているものが会社に不利益なことを知った上で採用した。
その度量の広さは他社になかったのでそこで働こうと思う。
度量に関しては物凄く感謝している。
だからその会社のことは悪く言いたくない。

短かったが就職活動ゲームは終わった。
やっと普通の僕に戻れる。
遊びと割り切らなければあんなバカな活動なんてできなかった。
ただ俗は本当にバカにできない。
僕が俗にまみれた1ヶ月は本当に無敵だった。
いかに俗がすさまじいエネルギーを持つかの証明がこれだ。
この1社に専心して、採用されなければ死ぬくらいの気持ちで活動した。
結果、一度きりのチャレンジで数百人の中から
ほんの数人に選ばれるわけだ。
「クリエイティブな仕事」な出版社だから大学も喜ぶだろう。

種明かしをすると僕のこのゲームは『アメリカの夜』に拠る。
唯生が2者に分離したところを応用して、
僕は分離させずに自己の物語を現実に再現して見せただけだ。
「特別な存在」でありたいと願い、ひたすら体を鍛え、思索にふけった。
たったそれだけのことだ。
時代遅れの僕だから出来た行為であって
優等生にはあまりに毒の強い行為だから
誰にもオススメはしない。

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