死者へ向かう

夢でうなされた。
寝起きの悪い僕が8時起きしたのは
それだけの理由じゃなくいくつか用事があったからだ。
まず祖母の病院へ。
今朝は雨がしとしとと降っていて
足の弱った祖母では歩いて帰宅するのが苦しいからクルマで迎えに行ったのだ。
クルマはほぼ半年ぶりだけど全然緊張しない。
ライダーなくせにおかしいこと言うけど
生活レベル（買い物〜ドライブ・ツーリング）ならバイクの方が絶対怖いし
運転が難しい。
クルマは本当に楽だ。
それでも駐車はクルマオリジナルの技術が必要だから、今の僕は下手だ。
前回のようにジャガーにぶつけそうになった、なんてことは
一切なかったけれど。

帰宅して祖母の話を聞いた。
主に原爆や戦争について。
それによる貧困と祖父の生き方。
老人のいつもの話と思っていたら大切なことを聞き逃す。
聞き手の意識によって当たり前は当たり前じゃなくなる。
祖母と花を持って墓参りに行った。

昼ごはんを食べ終わると、またクルマに乗り込んだ。
ちょっと遠くへ墓参りだ。
雷雨の峠道でもクルマは本当に楽だ。
合計100キロくらい走った。

自分が死ぬのを覚悟し、
子を残して死の旅路につく親の気持ちはどうだっただろう。
それを見届ける夫や子どもの気持ちはいかばかりであったろう。

夫を亡くしても思い続ける妻。
どうして生きているのかと問われても彼女の生命は彼女のものでしかない。
いかなる意味を持つかは彼女にしか分からない。
もしかしたら彼女さえ分からないのかもしれない。

数人の死者と残された者たちのことを考えると
いい加減に生きていてはダメだと思った。
強靭な愛をいくつも見せられると、
娘っ子数人のことで人生を浪費している自分がクソに思える。