覚悟を決めよ

2004年8月27日 読書
福田和也『悪の恋愛術』講談社現代新書
もしも、あなたがエゴイストになるのがいやならば、自分の本質が利己的であることをまず認めなければなりません。もしも、あなたが独りよがりであることがいやなのならば、まず自分が独りよがりであることを認めなければなりません。恋と愛情は、人間が地上で許されたもっとも甘い果実です。でも、この果実は、真実を通らなければ手に入れることはできない。願望と欺瞞からは、この果実にも、その成熟にも近づくことはできないのです。その心理とは何か。究極において、私たちは孤独であるということです。一人でこの世に生まれ、一人で死んでいく存在なのです。皮肉なことに、いやむしろ悲劇的なことかもしれませんが、恋愛という、孤独に生まれついた人間が他者をもっとも痛切に恋い求めるという営みでこそ、この孤独がもっとも深刻になってしまう。

「悪」シリーズ2弾。
「悪」とは衒った意味ではなく、彼の挑発的な姿勢のことです。
幼稚な現代人や「善良」な人々の欺瞞を暴きますが
難しい言葉を振り回さずに語ってくれます。
その提示された価値観自体はごくごく当然のことなのですが
洗練されていない人々にとっては新たなる価値観なのです。
こういう啓蒙書もどきは文芸評論家の副業に他なりませんが
上記の引用部分にぴんときたら読んでみて損のない本です。

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