調子狂うわ（第2回北海道ツーリング3日目）

深夜4時頃に寝たのに5時半に起きてしまった。
一番最後に寝て一番最初に起きたようだ。
すぐ出発することも出来たが外はまだ寒いし、
グラストラッカー兄ちゃんにも挨拶してから出かけたいし、
7時半までゆっくりしていた。

今年も5号線から始まる。
小樽からのメインルートだもの。
R5を走っていると対向車線のライダーからピースサインをもらった。
俺はそれを見て北海道に来たのを忘れていたわけではないが
思い出した、というより実感した。

余市町を過ぎた辺りで道路情報の異変に気付いた。
積丹半島の西側（神恵内村）が通行止め。
思ったよりも台風の被害が大きかったみたい。
計画変更、ターンして積丹半島は東側から入って引き返す。
ド田舎なのに交通量が多くて空気が埃っぽい。
しかしR229の海岸沿いは良い眺めだ。
積丹半島は去年パスしたのでぜひとも行きたかったのだ。

神威岬。
昔は女人禁制だったらしいが、今日はおばちゃんがわんさかいた。
彼女たち体力がないから歩くの遅いしひいひい肩で息をしている。
神威岬は先端に行くまで約20分かかる。
上り坂下り坂ありのトレッキング状態だ。
俺はまだ若い。
余裕でずんずん歩いた。
岬は周囲の300度くらいが水平線。
岩と海水の色がたまらなかった。

神威岬から積丹岬へ向かう最中トラブルが！
恥ずかしながらガス欠してしまった。
ライダーとして恥ずかしい…。
でもささやかな言い訳を聞いて欲しい。
俺は神威岬直前にガソリンスタンドを見つけておいた。
神威岬の見物が終わったら給油するつもりだったのに、
戻ってみると臨時休業していたのだ。
午前11時なのに。
その臨時休業のGSの隣で崖崩れの補修をしている土方の兄ちゃんがいたので
一番近くのGSはどこかと尋ねてみると、
あぁ〜、ここから10キロ以上先だよ、との返答。
アップダウンのあるクネクネ道とトンネルの国道を
荷物満載の400のオートバイを押すって
どれだけの重労働か想像しただけでうんざりした。
間違いなくGSに行くだけで一日が終わるし1時間しないうちに全身筋肉痛になる。
でも助かった。
土方の兄ちゃんがガソリンを分けてくれたから。
さっきまで営業してたのによ、あのGS、どしたんだろうね、
と彼は同情してくれた。
彼は台風による崖崩れを補修していたらしい。
なんでも今朝まで積丹町は停電していたんだそうな。
兄ちゃんは遠くからフォークリフトでガソリンを持ってきてくれた。
「カワサキか〜、バイクいいねぇ。NINJAは凄いよな。
あれ、すげえ速い。大型バイクは一番速いよ」
そんなことを話した。
当然ガソリン代を払おうとしたが受け取ってくれなかった。
田舎には自販機もないから缶コーヒーもおごれない。
コーヒー代と言っても受け取ってくれなかった。
その後も粘り強く色々言ったんだけどダメだった。
感謝の言葉は何度も言ったけどそれだけで気が済むはずもない。
でも兄ちゃんは受け取ってくれない。
ならば、と考えた。
会社名をメモっておいて八ツ橋か漬け物でも送りつけてやれ。

ガス欠を親切で乗り越え次は積丹岬。
しまった！積丹岬の次に神威岬を見るんだった。
神威岬が良すぎたから積丹岬がしょぼく見える…。
ここも上り坂がきつかった。
お昼前にエネルギーを使ったからお腹が鳴った。
兄ちゃんの親切に応えるために積丹町にお金を落とすことにした。
具体的に言うと彼の勧めた生うに丼を食べることにした。
小樽や札幌よりも新鮮でうまい上に2割くらい安い。

午後は日差しも暖かくツーリング日和だった。
特に小樽の銭函からは流れが良くて
R231（海岸線多い）を一気に北上した。
北海道は道が広いし道路は頑丈に作られているし
クルマの流れは速いし走りやすい。

留萌の黄金岬で夕陽を見ていた。
モニュメントみたいなものにカモメがとまっていて、
こいつと夕陽を撮りたくなった。
するとカモメが糞をしながらクワァと威嚇してきてびっくりした。

カモメに調子を狂わされたが気を取り直して走り出した。
どんどん速度を上げていくとメーターの針もぐんぐん上へ移動する…、
筈だ、いつもなら。
その時、速度に反比例して針はゼロに近づいていき、最後はゼロになった。
時速0キロ、らしい、メーターによると。
ところが間違いなく100キロ以上出ている。
ワイヤーが切れちゃったみたい。
それからは体感速度でなんとなく80キロだろう、とか判断しながら走った。
整備不良で捕まるのは嫌だから特にパトカーには気をつけた。
バイクは直感の乗り物だから速度が分からない程度で騒いではいけない。

今晩の宿は羽幌。
同宿者と色々話をしたが、
内容は北海道に関することよりも女性に関する話題ばかり。
もてる男は判別しにくいがもてない男はすぐに分かるよな。